環境にやさしい高性能三元触媒を実用化 No.001

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環境にやさしい高性能三元触媒を実用化 No.001

環境にやさしい高性能三元触媒を実用化

自動車排気浄化触媒の2大機構を解明

成果のポイント

  • 自動車排ガス浄化用の三元触媒*の活性を最適化する酸素貯蔵・放出機構を解明
  • 活性を持続させる触媒貴金属粒子成長抑制機構を解明
  • これらの解析に基づいて開発された高性能三元触媒が、ガソリン車に搭載され、環境浄化に貢献

研究・開発機関:トヨタ自動車(株)、(株)豊田中央研究所

*三元触媒 自動車の排ガスに含まれる有害成分は、触媒の働きで酸化・還元反応を起こし、浄化されます。三元触媒は一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)、窒素酸化物(NOx)の3つの成分を同時に浄化するもので、この方式はガソリンエンジン車にもっとも多く使われてます。三元触媒は、触媒反応を起こす貴金属、これら貴金属粒子をナノスケールで分散させる担体、および貴金属による触媒反応を向上させる助触媒からなります。

SPring-8の活用

背景
自動車の排ガス成分はたえず変化していますから、それに合わせて酸素濃度を最適に調整するには、迅速に酸素を貯蔵・放出する性能が求められます。その性能が優れた材料として開発されたのがCZ担体です。しかし、性能を向上させる要因がわかりませんでした。
 また、開発の過程で、CZ 担体と白金(Pt )を組み合わせると、白金粒子の成長が起こりにくくなり、触媒活性が持続することがわかってきました。そのメカニズムを明らかにするには、原子レベルでの解析が必要でした。

成果の詳細
CZ 担体は重元素からなり、高エネルギーの高輝度X 線でないと詳しい構造を調べることができません。SPring-8 のXAFS で解析したところ、原子の配列状態によって酸素貯蔵・放出性能が変化することがわかりました。
 また、CZ 担体とPt を組み合わせた触媒は、高温の排ガスにさらされると、Pt-O-Ce 結合を形成して粒成長をブロックします。この触媒貴金属粒子成長抑制機構が明らかになりました。
 これらの解析によって、Pt/CZを含む触媒材料の改良が図られ、高性能な三元触媒が実現しました。

Pt/CZを含む三元触媒の働き

排気浄化装置(触媒コンバータ)は排気管の途中に設置されます。その触媒には、貴金属である白金(Pt)と助触媒としてCZ(セリア:CeO2とジルコニア:ZrO2の固溶体)担体を含みます。これら粉状の触媒成分は、排ガスに触れる面積を大きくするために蜂の巣構造をしたセラミックスの支持体にコートされています。CZが酸素濃度を最適に調整して触媒活性を促進するとともに、CZとPtとの相互作用によってPt粒子の成長が抑制されます。

Pt/CZを含む三元触媒の働き


CZ担体の構造と酸素貯蔵・放出性能の関係

CeおよびZrの原子レベルでの均一性および配列状態が、酸素貯蔵・放出性能に著しい影響を及ぼすことが明らかになりました。その後、CZ担体の劣化機構も解明され、長時間にわたって高い酸素貯蔵・放出性能を維持する構造が求められました(京都大学との共同研究)。

CZ担体の構造と酸素貯蔵・放出性能の関係


触媒貴金属粒子の成長抑制機構

Pt/CZ触媒では、高温ガスにさらされると、PtとCZの相互作用によってPt-O-Ce結合が形成され、Pt粒子の凝集を防ぎます。通常は、この結合が切れて触媒反応が起こるので、活性が長時間持続します。

触媒貴金属粒子の成長抑制機構

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