SPring-8金属材料評価研究会
(第5回:硬X線光電子分光法:HAXPES)


 大型放射光施設 SPring-8の放射光は一般の実験室X線に比し、高輝度、高平行性、高エネルギーなどの特徴を有す。光電子分光法は励起光を個体に照射した際に、励起光のエネルギーを得て個体から真空中に放出される光電子をエネルギー分析して、固体中の電子状態などを知ることができる。SPring-8の硬X線励起の特徴は軟X線励起よりも深い検出深さにあり、SPring-8におけるHAXPESの基礎から応用に至る幅広い利用研究の一端をご紹介し、金属材料分野での一層の活用につながることを期待している。

主 催 SPring-8利用推進協議会 研究開発委員会
共 催 (財)高輝度光科学研究センター
協 賛 (予定)(社)日本鉄鋼協会、(社)日本金属学会、(社)日本材料学会、
  (社)日本機械学会、(社)軽金属学会、(社)応用物理学会、
  (社)日本セラミックス協会、日本複合材料学会
日 時 2011年8月26日(金)
  13:00~17:00(研究会)  17:00~18:30(技術交流会)
会 場 研究社英語センタービル 地下2階大会議室
(技術交流会:地下1階 中会議室)
電話:03-3269-4331
〒162-0825 新宿区神楽坂1-2
JR中央線/ 飯田橋駅西口または地下鉄/飯田橋駅 B3出口より徒歩3分
アクセスマップ : http://www.kenkyusha.co.jp/modules/11_meetingroom/

プログラム    硬X線光電子分光法(HAXPES)の基礎と応用

  13:00~13:10 はじめに 鈴木謙爾(東北大学名誉教授)
  13:10~14:00 硬X線光電子分光法(HAXPES)でこんなことができる−特徴、その利用、今後の進展−
渡辺義夫(慶應義塾大学/JST)
固体中の電子の平均自由行程(IMFP: inelastic mean free path)は、その運動エネルギーが大きくなるほど長くなることから、励起光源として硬X線領域のアンジュレータ光源を用いた硬X線光電子分光法(HAXPES: Hard X-ray Photoelectron Spectroscopy)では、従来の光電子分光法に比べて約1桁深い領域の内殻や価電子帯における電子状態を調べることができる。また、このように試料表面領域の寄与が少ないバルク敏感な測定だけでなく、試料表面に対する光電子脱出角度を変えることで、プローブ深さを制御した角度分解光電子分光測定によって表面からバルクまでの電子状態を調べることができる。講演では、HAXPESの特徴を述べるとともに、その利用例を紹介し、今後の進展について触れたい。
  14:00~14:50 「HAXPESのLSI製造プロセス評価への応用例」
廣沢一郎(JASRI)
LSIは多数の薄膜が積層した構造を有し、それぞれの薄膜の状態がLSIの機能に大きな影響を与えることも少なくない。このため界面の化学状態を非破壊で評価できるHAXPESはLSI製造プロセス開発において有効な評価手法である。講演では、high-kゲート絶縁膜電極界面の化学状態評価に適した事例を中心にLSI分野でのHAXPESの特徴を紹介する。
  14:50~15:15 HAXPESによる高温高圧水中で成長したステンレス不動態被膜の非破壊分析
佐藤真直(JASRI)
HAXPESの大きな特徴である検出深度の深さは、材料内部を非破壊観察することによりその化学状態の情報を損なうことなく得ることを実現する。この利点は金属材料の腐食現象メカニズムの研究において非常に効果的である。講演では、金属材料表面のどの程度の深さまでの化学状態分析に、HAXPESの非破壊分析が適用可能なのか、高温高圧水環境下で数10nmにまで厚みが成長したステンレス鋼不働態皮膜をテストサンプルとして検証した事例を紹介する。
  15:15~15:30 休 憩
  15:30~16:05 HAXPESによるステンレス表面に形成した不動態皮膜中の微量添加元素の分析
高橋 真((株)コベルコ科研)
HAXPESは検出深さが深いことが特長の1つとして挙げられる。この特長を利用し、ステンレス表面に形成した自然酸化膜(不動態皮膜)中および皮膜/基材界面付近に含まれる添加金属元素の化学状態を非破壊で分析した。Ar+スパッタを併用したXPS分析と比較し、HAXPESによる不動態被膜分析の利点および課題について紹介する。
  16:05~16:45 メタルダスティング腐食環境用Ni基合金のHAXPESによる被膜構造解析
土井教史(住友金属工業(株))
天然ガス改質工程での合成ガスによるメタルダスティング腐食抑制に基材へのCu添加が有効である。このCu元素の存在形態を確認する目的で、10nm程度の酸化スケールの生成した状態で、酸化スケール/金属界面の合金偏析や化学状態の非破壊分析をHAXPESにより検討した結果を紹介する。
  16:45~16:55 閉会 挨拶    (JASRI) 山川 晃
  17:00~18:30 技術交流会

定 員:
70名(聴講無料、定員になり次第締め切ります。)

申 込:申込は締切りました。

申込締切: 申込は締切りました。

技術交流会:
参加費 (1,000円)  名刺交換、講師、JASRI職員との対話の場としてお気軽にご参加下さい。

[申込み先]
e-mail: kinzoku@spring8.or.jp
FAX 0791-58-0830

[問合せ先]

JASRI 産業利用推進室  橋本 保 (hashimot@spring8.or.jp)
   事務局代表 (suishin@spring8.or.jp)
   〒679-5198 兵庫県佐用郡佐用町光都1丁目1-1
 TEL 0791-58-0924、FAX 0791-58-0830
SPring-8利用推進協議会HP  URL http://www.jasri.jp/iuss/ (活動状況など)