SPring-8金属材料評価研究会
(第4回:光電子顕微鏡法)


 大型放射光施設 SPring-8の放射光は一般の実験室X線に比し、高輝度、高平行性、高エネルギーなどの特徴を有す。今回は偏光とエネルギー可変性を活用する放射光光電子顕微鏡(PEEM)を第1部で特集する。PEEMは光電子を顕微鏡的な2次元イメージとして観測する手法で、他の電子顕微鏡では難しいか或いは、不可能な研究への応用が進んでいる。多元素からなる物質の微細な相分離構造や分離した各領域の電子・磁気構造の研究など多様な分野への応用が期待される。第2部ではSPring-8の更なる活用を期待するMg合金の成形技術の開発および析出物解析に有用な小角散乱法の研究トピックスをご紹介戴く

主 催:
SPring-8利用推進協議会 研究開発委員会
共 催:
(財)高輝度光科学研究センター
協 賛:
(社)日本鉄鋼協会、(社)日本金属学会、(社)日本材料学会、
(社)日本機械学会、(社)軽金属学会、(社)応用物理学会、
(社)日本セラミックス協会、日本複合材料学会
日 時:
平成23年2月25日(金)
13:25~17:10(研究会) 17:20~19:00(技術交流会) 
会 場:
化学会館 7F ホール (技術交流会:5F 501号)
電話:03-3292-6161
〒101-8307
東京都千代田区神田駿河台1-5(JR御茶ノ水駅 御茶ノ水橋口)
アクセスマップ : http://www.chemistry.or.jp/kaimu/office/map.html

プログラム

  13:25~13:30 はじめに    主査 (東北大学名誉教授) 鈴木謙爾

【第1部】 放射光X線光電子顕微鏡の基礎と応用
  13:30~14:20 光電子顕微鏡でこんなことができる‐鉄隕石の構造解析から金属材料への今後の展開」  (JASRI) 小嗣 真人
光電子顕微鏡は表面から放出される光電子を数十nmの空間分解能で直接画像化できる電子顕微鏡の一種である。放射光のエネルギーをスキャンさせながら連続的に画像取得することで、X線吸収分光測定を画素毎に行うことができるため、元素組成や化学結合状態のマッピングも可能であり、また磁気円二色性を用いることで磁区構造も取得できる。現在はナノ材料をはじめとする産業利用や、隕石などの惑星科学へのアプローチもおこなわれており、講演では実例を交えながら光電子顕微鏡の研究展開を紹介する。
  14:20~15:00 XMCD‐PEEM法を活用したネオジム磁石合金の磁区構造観察
 (住友金属) 山本祐義
ネオジム磁石の最も重要な磁気特性の一つである保磁力の発生機構について、材料組織制御の観点から知見を得ることを目的として、XMCD-PEEM法を活用した高分解能な磁区観察研究手法を構築した。その結果、熱消磁状態と直流磁場消磁状態における磁区構造が全く異なることが明らかになった。
  15:00~15:40 PEEM-XMCD法によるFe‐Si合金の高分解能磁区構造イメージング
 (大阪電通大) 安江常夫
軟磁性材料として広く用いられているFe‐Si合金の鉄損低減に向けて、温度や外部磁場などの外的要因によって磁区構造がどのように変化するかの詳細をXMCD-PEEMによって観察した。ランセットと呼ばれる補助磁区構造は温度変化により可逆的に発生・消滅することが明らかとなった。またランセット間の磁気的相互作用によりその発生位置が移動することも見出された。講演ではこれらの詳細を紹介する。
  15:40~16:00 休 憩

【第2部】
放射光X線研究事例紹介
  16:00~16:30 イメージング法による高速ボス加工したMg合金の内部欠陥観察」   (茨城工技センター) 早乙女秀丸
産学官で開発した高速ボス成形技術を使用し、マグネシウム合金(AZ31)上に成形したボスについて、BL19B2のX線イメージングを使用し内部構造の可視化を行った。その結果、ボス内部に発生した螺旋状の微小欠陥を3次元モデルで可視化することに成功した。 
  16:30~17:10 放射光X線と中性子を併用した小角散乱法による金属中微細組織の解析」   (NIMS) 大場洋次郎
小角散乱法は、析出物や介在物等の金属中の微細組織を高い統計精度で評価できる優れた手法である。放射光X線を用いると、測定範囲は極小角領域(USAXS)に達し、より大きな組織の解析が可能となる。さらに、中性子小角散乱(SANS)法と併用することにより微細組織の組成を評価した例を紹介する。
  17:10~17:15 閉会ご挨拶   (JASRI) 山川 晃
  17:20~19:00 技術交流会   (於: 5F 501号)

定 員:
70名(聴講無料、定員になり次第締め切ります。)

申 込:
WEB申込は締切りました。

申込締切:
WEB申込は締切りました。
※当日参加は受付いたしております。
参加ご希望の方は、直接会場へお越し下さい。

技術交流会:
参加費 (1,000円)  名刺交換、講師、JASRI職員との対話の場としてお気軽にご参加下さい。

[申込み先]
e-mail: kinzoku@spring8.or.jp
FAX 0791-58-0830

[問合せ先]

JASRI 産業利用推進室  橋本 保 (hashimot@spring8.or.jp)
事務担当  中塚 栄子 (eiko-nakatsuka@spring8.or.jp)
   〒679-5198 兵庫県佐用郡佐用町光都1丁目1-1
 TEL 0791-58-0924、FAX 0791-58-0830
SPring-8利用推進協議会HP  URL http://www.jasri.jp/iuss/ (活動状況など)