第3回SPring-8放射光利用技術研究会/
第91回SPring-8先端利用技術ワークショップ
「放射光複合分析」

日 時:2023年8月22日(火) 13時10分~15時20分

開催形式:オンライン開催
 オンラインツール:Zoomを予定

主 催:SPring-8利用推進協議会(推進協)
(公財)高輝度光科学研究センター(JASRI)

後 援:SPring-8ユーザー協同体(SPRUC)

対 象:SPring-8の初級・中級利用者で、今後一層のSPring-8利活用を検討している産学の研究者・技術者

趣旨

 本研究会は、これまでの放射光の産業利用分野ではあまり利用が進んでいなかったが、今後は有用になると思われる先端的な分析手法で、特にSPring-8-Ⅱにおいて性能向上が期待される技術を中心に技術的特徴や応用例を紹介します。また、ビームライン再編状況や利用制度の変更に関してもタイムリーに情報提供を行うこと目指して活動している。
  今回の研究会では、1回の実験で多種類のデータを計測する複合分析技術を紹介します。
 

プログラム

13:10~13:15 開会挨拶と趣旨説明
  研究会主査 堂前 和彦(JASRI)
座長 堂前 和彦(JASRI)  
13:15~13:45

「放射光X線CTを活用したはやぶさ2リターンサンプルの複合分析」 

松本 恵(東北大学)

 2020年12月、小惑星探査機はやぶさ2は小惑星リュウグウ表層サンプルを地球へと持ち還った。2021年6月に始まったサンプルの初期分析により、リュウグウは、太陽系黎明期に木星軌道以遠の低温領域で誕生した母天体が、巨大惑星の軌道変化による摂動を受け太陽系外側から内側へ移動し、衝突破壊、再集積し形成したことが明らかとなっている。サンプル分析の初期段階で実施された放射光X線CTは、サンプルの平均密度など基本的な物性値を明らかにすると共に後続の顕微分析の指針となる情報を提供し、リュウグウ形成史の解明に貢献した。本発表では、放射光X線CTと種々の顕微分析を組み合わせたリュウグウサンプルの複合分析の内容および成果について紹介する。

13:45~14:15

「Liイオン電池材料のその場及びオペランド計測」 

向 和彦((株)豊田中央研究所)

 Liイオン電池内で発生する複雑な反応を理解するため、その場またはオペランド計測が汎用的に使用されている。しかし豊田ビームライン(BL33XU)は、X線回折(XRD)測定とX線吸収分光(XAS)測定を交互に実施できる世界的にも稀なビームラインであり、それにより同一電極内の同一部位から異なる空間領域の構造情報を得ることができる。筆者のグループで近年行ってきたオペランドXRD/XAS測定の結果を無歪みLiインサーション材料を中心に報告する。また昇温XRD/XASその場測定及びX線ラマンその場測定についても報告する。

座長 佐藤 眞直(JASRI)  
14:15~14:45

「XAFS/XRD同時測定セルの開発と複合測定環境整備」

君島 堅一(高エネルギー加速器研究機構)

 XAFS/XRD同時測定セルを開発して、複数の手法を複合的に利用可能な環境を整備している。一般に単一の測定手法で得られる情報には限界があり、通常いくつかの手法を併用して測定・解析が行われる。放射光を用いた測定も同様であるが、特に環境制御条件(in situ/ operand)のような反応進行下では、同時(同視野)測定で得られるデータと、個別にデータを取得した場合とでは解析結果が異なる可能性がある。これらを踏まえ、XAFSビームラインでの利用を前提に分光/回折同時測定用の雰囲気制御セルを開発してきた。このセルを用いたXAFS/XRD測定による実験結果を中心に、PFでの複合測定の取り組みを紹介する。

14:45~15:15

「SPring-8における同視野X線散乱・X線吸収分光測定の技術開発とその応用事例の紹介」

渡辺 剛(JASRI)

 SPring-8では、その光源性能や設備を活かすことで実験室系では実現できない測定が実施できる。特に、講演者が担当するBL14B2とBL19B2では、一度の実験で複数の測定を同視野で実施する「同視野測定」への需要が増えている。この背景から、講演者はX線散乱測定とX線吸収分光測定を組み合わせた同視野測定の技術開発に取り組んできた。講演では報告者がこれまでに開発した同視野測定技術を紹介し、本技術を触媒試料を含む多様な試料に適用した測定事例を紹介する。

15:15~15:20 閉会挨拶
  佐藤 眞直(JASRI)

参加方法

 定員:100名程度

 申込み締切:2023年8月21日(月)12:00(予定)

参加申込は締め切りました。当日も受付しております。

問い合わせ先

(公財)高輝度光科学研究センター
産業利用基盤開発推進室/産業利用・産学連携推進室 堂前 和彦 (kdohmae@spring8.or.jp
SPring-8利用推進協議会研究会事務局(suishin@spring8.or.jp
〒679-5198 兵庫県佐用郡佐用町光都1丁目1-1
TEL 0791-58-2785  FAX 0791-58-2786
SPring-8利用推進協議会 URL http://www.jasri.jp/iuss/