第16回SPring-8金属材料評価研究会/
第57回SPring-8先端利用技術ワークショップ
「X線回折プロファイル解析を用いた放射光その場X線回折測定による
金属材料の変形組織解析」

 

日 時:2021年3月4日(木) 13時30分〜16時05分 

開催形式:オンライン開催(使用ツール:Cisco WebExを予定),技術交流会:無し    

主 催:(公財)高輝度光科学研究センター(JASRI)
  SPring-8利用推進協議会 

後 援:(一社)軽金属学会、(一社)日本機械学会、(一社)日本鉄鋼協会、(一社)溶接学会、(公社)応用物理学会、
(公社)日本金属学会、(公社)日本材料学会、光ビームプラットフォーム

趣旨

 本研究会は、鉄鋼・非鉄金属材料の分野において、SPring-8の特徴を活かした利用領域のさら なる拡大と利用技術の深化を目指した活動を行うことを目的としています。
 今回の研究会では、X線回折プロファイル解析による金属多結晶組織中の転位密度評価技術 への放射光応用をテーマとして取り上げます。X線回折を応用したこの技術の特徴は電子顕微鏡 観察のような試験片の前処理を必要とせずその場測定が可能であることにあり、高輝度な放射 光を応用してその場時分割X線回折測定を行うことにより、引張変形中の金属構造材料中の転 位密度の変化を評価することが可能です。
近年SPring-8の産業利用ビームラインにおいて本技術の利用環境(広い回折角の測定範を確保する1次元検出器を備えたX線回折計、試験片に引張変形を印加する引張試験機)が整備され、多数の利用事例が創出されつつあります。本技術の利用において、成果に結びつける上での留意点は、X線回折プロファイルデータから転位密度情報を引き出す解析技術にあります。Williamson-Hall法等の解析技術によってX線回折プロファイルの回折ピーク幅から直接導出される情報は金属組織中に蓄積する弾性歪み分布であり、この情報から転位密度分布を推定する解析モデルは対象とする金属組織の形態に依存します。このため、実験者が正しい情報を導くためには、自分が対象とする材料に適した解析モデルは何かを正しく把握する必要があります。 本研究会では、この金属構造材料の引張変形下その場X線回折測定およびその回折プロファイル解析による転位密度評価技術の概略を紹介するとともに、実際にこの技術を多様な材料の変形挙動、解析に活用されたユーザーの方々にご自身の解析事例を紹介いただいて、本技術に興味を持っていただいている研究者の方々がご利用を検討いただくことを目的といたします。

プログラム概要

13:30~13:35

開会挨拶

研究会主査 足立 大樹(兵庫県立大学)

 

 

座長 佐藤 眞直(JASRI)

13:35~14:15

放射光その場解析による引張変形中における転位密度変化の測定

足立 大樹(兵庫県立大学)

X線回折ラインプロファイル解析を用いた、各種転位密度導出法の概要と、放射光を用いた引張変形中における転位密度In-situ測定について解説する。また、結晶粒径などの微細組織がが変形中の転位密度に及ぼす影響について紹介します。

14:15~14:45

X線回折プロファイル解析を用いた転位密度導出
  −超微細粒銅への適用を例に−

宮嶋 陽司(金沢大学)

SPring-8のBL46XUにおいて結晶粒径が数μm未満の超微細粒組織を持つ純銅に対して引張試験中その場XRD測定を行い、Williamson-Hall法を適用して解析した事例を紹介する。 Williamson-Hall法以外で転位密度導出に用いられている古典的な手法にはWarren-Averbach法があるが、ピークのフーリエ級数展開もしくはフーリエ変換が必要である。Warren-Averbach法を用いた解析の注意点に関しても紹介します。

14:45~15:00 休憩
 

 

座長 足立 大樹(兵庫県立大学)

15:00~15:30

X線回折プロファイル解析法による金属材料の変形組織分析
  -ハイエントロピー合金を例に-

吉田 周平(京都大学)

金属材料においては、単純な転位のすべり運動だけでなく、転位と積層欠陥,変形双晶といった多様な格子欠陥同士の相互作用が変形組織の発達,および力学特性に寄与している。X線回折プロファイル解析法では、そのような材料中の格子欠陥の種類や密度など、様々な情報を抽出することが可能である。本講演では、ハイエントロピー合金の室温引張変形中におけるその場放射光X線回折測定の結果を例に、変形組織の分析方法を紹介します。

15:30~16:00

その場放射光X線回折とDICによる高Mn鋼のセレーション挙動の解明

黄 錫永(京都大学)

本講演では、典型的な高Mn鋼である22Mn-0.6C鋼(wt. %)の引張試験中に、その場放射光X線回折とデジタル画像相関法(DIC法)をSPring-8・BL46XUで同時に行い、高Mn鋼のセレーション挙動の発現機構を明らかにすることを目的とした。高Mn鋼のセレーション挙動は、引張試験片中の局部変形帯(PLC band)の形成、伝播、消滅に対応していることが本研究により解明された。PLC bandは微視的な動的ひずみ時効(DSA:Dynamic Strain Aging)と関連していると考えられます。

16:00~16:05

閉会挨拶

山口 章(JASRI)

申込方法

申込方法:
参加申し込みは締め切りました。

定員:100名(傍聴無料)

申込み締切:2021年2月26日(金)17:00(予定)

問い合わせ先

(公財)高輝度光科学研究センター
産業利用推進室 佐藤 眞直(msato@spring8.or.jp
SPring-8利用推進協議会研究会事務局(suishin@spring8.or.jp
〒679-5198 兵庫県佐用郡佐用町光都1丁目1-1
TEL 0791-58-2785  FAX 0791-58-2786
SPring-8利用推進協議会 URL http://www.jasri.jp/iuss/