■SPring-8利用推進協議会 研究開発委員会 SPring-8疲労損傷評価研究会への参加募集ならびに第1回研究会開催のご案内
金属材料の疲労損傷評価は古くからの課題であり、これまでに多くの研究が行われてきました。しかしながら、その損傷評価技術は未だに確立されておらず、疲労による破壊事故は後を絶ちません。疲労損傷評価研究は、金属顕微鏡、電子顕微鏡、原子間力顕微鏡の開発など新たな観察手法が開発されるごとに飛躍的に進歩してきた経緯があります。
そこで、 SPring-8利用推進協議会研究開発委員会では、第3世代大型放射光施設SPring-8を活用することによって、従来の方法では困難であった疲労損傷を評価し、産業界の設計力・検査力の向上に新たな道を拓くことができると期待し、このたび中井善一教授(神戸大学大学院自然科学研究科)を代表として、SPring-8疲労損傷評価研究会を立ち上げました(詳細につきましては、本案内に添付の設立趣意書をご参照ください)。
本研究にご興味のある方は是非本研究会にご入会いただきますようご案内いたします。
なお本研究会は『 (社)日本材料学会 疲労部門委員会 高輝度放射光による疲労損傷評価技術研究分科会』との併催とします。
記
名 称:第1回 SPring-8疲労損傷評価研究会 日 時:2005年7月5日(火) 13:20~16:30 場 所:(財)高輝度光科学研究センター 中央管理棟1階講堂(1階ロビー奥) プログラム: 13:20~13:30 材料学会 疲労損傷評価技術研究分科会 議事 13:30~13:45 メンバー紹介他 13:45~13:55 本研究会発足の背景・経緯・趣旨説明(事務局) 13:55~14:40 講演1「 疲労損傷評価技術における放射光への期待 」 研究会代表 中井 善一(神戸大学工学部) 14:40~15:00 講演2「 放射光による金属材料のイメージング観察 」 塩澤 大輝(神戸大学工学部) 15:00~15:15 休憩 15:15~16:15 特別講演「 放射光マイクロCTとその応用 (仮題)」 安田 秀幸(大阪大学大学院工学研究科) 16:15~16:30 研究会の今後の活動について 研究会終了後 16:30~17:05の予定で、希望者を対象にSPring-8 BL19B2の見学会を開催します。
以上
【研究会参加申込み先】 氏名・所属機関・所属部署・役職・連絡先(電話、 FAX、Eメールアドレス)をお書き添えの上、Eメールで以下にお申込みください。 ☆ SPring-8利用推進協議会に参加いただいている企業・団体であれば、本研究会への入会は無料です。 ☆ 問合せ・申込み先: (財)高輝度光科学研究センター 利用業務部 tel.0791-58-0947 fax.0791-58-0948 Eメール: h_koike@spring8.or.jp
■SPring-8利用推進協議会 「SPring-8疲労損傷評価研究会」設立趣意書 SPring-8利用推進協議会研究開発委員会 (研究会代表:神戸大学 中井善一) 1. 目的 金属材料の疲労損傷評価は,古くからの課題であり,これまでに多くの研究が行われてきた.しかしながら,通常,疲労損傷はごく局所化された現象であるため,その損傷評価技術は未だに確立されておらず,疲労による破壊事故は後を絶たない.また,研究面では,近年,超長寿命疲労が話題となっているが,この場合,内部よりき裂が発生するため,その発生・成長過程の観察が極めて困難であり,いくつかのメカニズムが提案されているが,それらが十分に実証されるには至っていない. さて,金属疲労研究は,金属顕微鏡,電子顕微鏡,原子間力顕微鏡の開発などのように,新たな観察手法が開発されるごとに飛躍的に進歩してきた.これらの手法を駆使して,これまでに多くの研究が行われてきたが,得られる情報にはまだ限界があり,金属材料の疲労損傷を十分な精度で評価し得たとはいえない. そこで,本研究会では,第3世代の大型放射光施設(SPring-8)を活用することによって,従来の方法では困難であった疲労損傷を評価し,産業界の設計力・検査力の向上に寄与することを目的とする. なお本研究会は,原則として「日本材料学会 疲労部門委員会 高輝度放射光による疲労損傷評価技術研究分科会」との併催とする. 2. 活動内容
(1)
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実用化のための基礎となる研究 |
(a)
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内部き裂発生の直接観察に関する研究調査および共同研究の実施 |
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屈折コントラストイメージング法によって,材料内部の介在物およびき裂像を得るとともに,放射光によるCT法を用いて、鉄系材料についての三次元イメージを得るための手法を開発する.これにより,内部疲労き裂発生および成長過程の観察とそのメカニズムの解明を行う. |
(b)
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疲労き裂発生機構の解明に関する研究調査および共同研究の実施 |
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原子間力顕微鏡(AFM)による破面観察結果をもとに,疲労損傷が大きいと考えられる結晶粒について,放射光のビーム径を数mm以下まで絞り,回折法によりすべり帯内の微視構造を観察し,その疲労過程中の変化を明らかにする.また,結晶塑性を考慮した有限要素解析結果との比較・検討を行う. |
(c)
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疲労破面解析に関する研究調査および共同研究の実施 |
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放射光のビーム径を数mm以下まで絞り,回折法により破面近傍の微視構造を調べ,破壊力学パラメータとの対応を明らかにする. |
(2) |
実機疲労損傷評価手法の確立のための研究 |
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放射光CT法による欠陥検査と,コンピュータによる応力解析を統合したソフトウェアを開発し,ロケット・ノズル,MEMS等の小型・高価値の製品の品質保証手法を確立するための共同研究を実施する. |
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疲労き裂発生寿命を正確に予測する手法を開発することにより,高精度の疲労余寿命評価を実現し,実機に適用するための共同研究を実施する. |
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破面解析手法を確立することにより,破壊事故原因究明のための新たなツールを開発するのための共同研究を実施する. |
(3) |
研究環境の改善 |
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上記各研究を研究会主導で実施するほか,メンバーによる研究に対し適切な指導・支援を行う.これによりメンバーの実験機会の拡大を図るとともに,情報交換や公的資金導入など研究環境の改善を図る.
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3. 期間・開催頻度 平成17年度より開始し,継続については2年毎に見直すものとする.年4回程度開催予定. 4. メンバー SPring-8利用推進協議会参加企業・団体より広く募集する.
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