日本で生まれた真空封止型アンジュレータ~高効率で世界最高の放射光をつくりだす

Japanese | English

日本で生まれた真空封止型アンジュレータ~高効率で世界最高の放射光をつくりだす

日本で生まれた真空封止型アンジュレータ

高効率で世界最高の放射光をつくりだす

成果のポイント

  • 高輝度放射光をつくりだす真空封止型アンジュレータ*を世界に先駆けてSPring-8で実用化
  • 海外向けにも生産され、アメリカ、オーストラリア、スイス、韓国などに輸出
  • X線自由電子レーザー(XFEL)**にも取り入れられ、SACLAにおいてX線レーザーの発振に成功

研究・開発機関:理化学研究所ほか

*真空封止型アンジュレータ 放射光は、ほぼ光速で進む電子を磁石で曲げたときに発生します。そのための装置がアンジュレータです。従来のアンジュレータは、真空タンクの外側に磁石が配置されていましたが、真空タンクの内側に磁石が配置されている真空封止型アンジュレータでは、磁石を電子ビームに近づけて高い磁場を印加することが可能となり、高い効率で、高輝度X線を発生させることができます。

**X線自由電子レーザー(XFEL) XFELは人類が新たにつくりだすX線領域のレーザーです。高品質の電子ビームを加速して真空封止型アンジュレータに入射し、そこで発生したX線と電子との相互作用によって生まれます。特定の波長域ではSPring-8の10億倍という明るさが得られるので、物質の構造をさらに細かく、例えばタンパク質分子1個の構造が見られると期待されます。

この研究に対する受賞:日本金属学会論文賞 材料化学部門(2005年度)

SPring-8の活用

背景
より短波長で高輝度のX線を得るには、アンジュレータの磁石列の周期長を短く設計しなければなりません。しかも、そのために必要な磁場を得るには、上下の磁石間隔(ギャップ)を狭くする必要があります。ところが、磁石間のギャップに真空タンクが設置される従来型のアンジュレータでは、ギャップを狭くすることができません。この問題を解決するため考案されたのが真空封止型アンジュレータです。
 真空タンクの中に磁石列を設置していますから、電子ビームを削らない範囲で、ギャップを限りなく狭めることができます。

成果の詳細
しかし、実用化するには高い真空度の実現や、磁力の消失防止など、高レベルの技術関発が必要でした。1990 年、茨城県つくば市の高エネルギー物理学研究所(現在の高エネルギー加速器研究機構)でパイロット型が製作されました。そしてSPring-8でも本格的に導入され、世界最高レベルの短波長・高輝度のX線を生みだす本命装置になったのです。現在、24 台が稼働中です。そのほとんどは装置長4.5 m ですが、総長25 m に達する世界最大のものまであります。
 また、低い電子エネルギーでもX線を発生できるので、中型の放射光施設でも活用されるようになりました。


真空封止型アンジュレータの仕組み

NとSの磁極をハーモニカのように上下に並べ、その間に電子ビームを通します。磁場をかけられた電子は周期的に蛇行し、蛇行するつど放射光を発生。それらをたがいに干渉させて高輝度の特定波長の光をつくりだしています。

X線自由電子レーザー(XFEL)用アンジュレータ

X線自由電子レーザー(XFEL)用アンジュレータ

(真空タンクをはずしたところ)

真空封止型アンジュレータの仕組み


世界中で活躍する日本の真空封止型アンジュレータ

世界中で活躍する日本の真空封止型アンジュレータ

日本で製造された真空封止型アンジュレータは2000年ごろから海外へ輸出されています。日本の設計を基にして開発されたものもあります。