合金化溶融亜鉛めっき鋼板の表面仕上がりを制御ーめっき皮膜内での合金化反応を解明

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合金化溶融亜鉛めっき鋼板の表面仕上がりを制御ーめっき皮膜内での合金化反応を解明

合金化溶融亜鉛めっき鋼板の表面仕上がりを制御

めっき皮膜内での合金化反応を解明

成果のポイント

  • 合金化溶融亜鉛めっき鋼板*の亜鉛と鋼の合金化プロセスをリアルタイムでその場観察し、合金化層の成長挙動を解明
  • 美麗で耐久性のあるめっき表面をつくるための指針を確立

研究・開発機関:住友金属工業(株)

*合金化溶融亜鉛めっき鋼板 鋼板に亜鉛を付着させた「溶融亜鉛めっき鋼板」は耐食性に非常に優れ、古くから使われてきました。 しかしながら、塗装後の塗膜下に微小なふくれが発生し塗装剥離の原因となることや、溶接性が低下するなどの問題がありました。 これらの欠点を補うために、溶融亜鉛めっき後、加熱によりめっき皮膜を鉄-亜鉛合金にしたのが「合金化溶融亜鉛めっき鋼板」です。 近年は自動車用鋼板として広く使われています。

SPring-8の活用

背景
合金化溶融亜鉛めっき鋼板の表面の仕上がりには、めっき皮膜内の鉄-亜鉛金属間化合物の初期段階における生成挙動が大きく影響します。そこで、鉄-亜鉛金属間化合物ができる初期からの全過程を把握することが求められていました。
 しかしこれまでは、加熱処理されためっき鋼板をいったん冷却して、めっき皮膜内の金属間化合物の生成を止めてから観察・測定していたため、生成初期の金属間化合物の生成挙動についてはまったくとらえることができませんでした。

成果の詳細
SPring-8の高輝度X線を使って、合金化溶融亜鉛めっき皮膜中で鉄-亜鉛金属間化合物が成長する過程を、初期段階からリアルタイムでその場観察することに成功しました。
 リアルタイムに得られたX線回折プロファイルの解析から、鉄-亜鉛金属間化合物の成長初期においても、その成長速度は鉄と亜鉛原子が反応して鉄-亜鉛金属間化合物を生成する速度(反応速度)ではなく、鉄と亜鉛原子がお互いに混じり合う速度(拡散速度)により決まることがわかりました。これによって、美麗なめっき表面をつくるうえで重要なポイントである金属間化合物の生成初期段階の制御技術に指針が得られました。


溶融亜鉛めっきライン

溶融亜鉛めっきライン

鋼板を連続的に通して亜鉛を付着させます。

合金化溶融亜鉛めっき鋼板の皮膜内構造(走査電子顕微鏡写真)

合金化溶融亜鉛めっき鋼板の皮膜内構造(走査電子顕微鏡写真)

合金化反応の途中で冷却し、皮膜内断面を走査電子顕微鏡で観察したものです。めっき皮膜と鋼板の界面から鉄(Fe)-亜鉛(Zn)金属間化合物が成長している様子がわかります。


溶融亜鉛めっきの加熱に伴うX線回折プロファイル

溶融亜鉛めっきの加熱に伴うX線回折プロファイル

めっき皮膜が溶融してから7秒間はFe-Zn金属間化合物の生成が抑制され、その後、Fe-Zn金属間化合物が生成していることがわかります。これは、亜鉛に微量添加されたアルミニウム(Al)が皮膜と鋼板の界面にFe-Al金属間化合物層を形成してめっき皮膜と鋼板の反応を阻止し、Fe-Al金属間化合物層が消滅した後にFe-Zn金属間化合物が生成することを示しています。

鉄-亜鉛金属間化合物の生成挙動

鉄-亜鉛金属間化合物の生成挙動

めっき皮膜の溶融後、Fe-Zn金属間化合物の厚さは時間の1/2乗に比例して増加しています。このことは、金属間化合物の成長速度が鉄原子と亜鉛原子がお互いに混じり合う(拡散する)速度で決まることを意味しています。