高い発光効率の光集積素子を開発ー発光特性を決める要因を解明

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高い発光効率の光集積素子を開発ー発光特性を決める要因を解明

高い発光効率の光集積素子を開発

発光特性を決める要因を解明

成果

  • 光集積素子*のレーザー活性層の組成比を高精度で測定
  • 組成比を最適化して素子の発光効率を約40%向上させ、高性能光集積素子の製品化に貢献

研究・開発機関:日本電気(株)/兵庫県立姫路工業大学(現・兵庫県立大学)

*光集積素子 半導体レーザー、光導波管、光スイッチ、光変調器、光検出器などの光素子を一体化した素子。ここで紹介する光集積素子は、変調器と半導体レーザーを単一の半導体基板上に形成したもので、1本のファイバーに波長の異なる複数の信号を重ね、高い利用効率と情報の大容量伝送を可能にする光通信システムのキーデバイスです。

**格子定数 結晶軸の長さと軸間角度を表す6個の定数。

SPring-8の活用

Before
光集積素子の発光特性(波長ごとの発光強度)は、レーザー発生部の品質に左右されます。この部分の作製法として、SiO2マスクの間にレーザー活性層(InGaAsP層)の結晶を成長させる選択成長法が開発されています。この方法を用いると、従来の方法に比べ工程が短縮されるため、製品の低価格化が実現します。
 しかし、InGaAsP層は1.5 マイクロメートルという狭い領域なので、その層の組成を精度良く測定する手法がなく、結晶品質を的確に制御することができませんでした。

After
InGaAsP層の組成を知るには格子定数**を測定する必要があります。そのためには数マイクロメートル以下の空間分解能をもつX線回折測定法が求められ、SPring-8 の放射光を利用することによって実現しました。その結果、マスク幅に依存するInGaAsP層の組成を従来に比べ1桁以上高い精度で解析することができました。さらに、InGaAsP層に含まれるV 族元素(AsとP)の組成比がマスク幅のサイズに応じて変化するという、これまでの常識を破る新たな知見も得られました。
 これらの結果を活用することによって、結晶組成と格子定数をデバイス設計通りに制御することが可能になりました。


変調器集積レーザー素子の構造

回折格子のピッチ、変調器部の吸収短波長、レーザー領域の利得ピーク波長の3者が同期するように素子作製を行う必要があります。変調器集積レーザー素子の構造

変調器集積レーザー素子の構造


レーザー活性層の選択成長

レーザー活性層の選択成長

SiO2膜などで部分的に覆ったInP基板の表面に、原料となる気体の化合物を拡散させ、熱分解反応によって結晶を成長させます。この方法を「選択成長法」といい、マスク以外の領域に選択的にInGaAsP層を結晶成長させることができます。しかも、異なる組成の導波路(Eg1、Eg2)の実現が可能です。

SiO2マスク幅とInGaAsP層に含まれるV族元素(AsとP)の変化

SiO2マスク幅とInGaAsP層に含まれるV族元素(AsとP)の変化

高輝度放射光によるX線マイクロビームを利用して、レーザー活性層であるInGaAsP層(0.1~0.2µm厚、数~数十μm幅)の格子定数を測定しました。この結果、SiO2マスク幅(Wm)のサイズに応じて、InGaAsP層のIII族元素(GaとIn)のみならずV族元素(AsとP)の組成比が変化することをつきとめました。