ニッケル水素電池の高容量化ー電極組成の最適条件を解明

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ニッケル水素電池の高容量化ー電極組成の最適条件を解明

ニッケル水素電池の高容量化

電極組成の最適条件を解明

成果のポイント

  • ニッケル水素電池*の電極材料の結晶構造と充放電をくりかえしたときの放電容量の変化の関係を解明
  • 電極材料合金の組成を最適化し、放電容量を従来より20%以上アップした製品を開発

研究・開発機関:(株)ジーエス・ユアサコーポレーション

*ニッケル水素電池 充電して再使用できる二次電池の一種。鉛やカドミウムを使わず、クリーンな水素吸蔵合金(結晶の隙間に水素原子を吸蔵している金属水素化物)を使っていることが特徴です。ニッケル・カドミウム(ニッカド)電池に比べるとエネルギー密度が高いので、カメラ、パソコン、携帯電話などを中心に広く使用されています。

SPring-8の活用

背景
 ニッケル水素電池の放電容量は、負極合金がどれだけ速い速度で水素を取り込み、可逆的に放出できるか(水素吸蔵量)によって決まります。そこで、各種の新しい系の水素吸蔵合金の研究が進められています。その中で注目されているのがLa-Mg-Ni 系合金です。
 しかし、La-Mg-Ni 系合金は水素吸蔵量は多いのですが、充放電をくりかえすと劣化する欠点がありました。組成を改良するには、結晶構造を明らかにする必要がありますが、何種類もの構造相が積み重なっていて、従来の方法では測定することが困難でした。

成果の詳細
 SPring-8の放射光を使ったX線回折法でLa-Mg-Ni 系合金を測定した結果、合金に添加する金属(マンガンとアルミニウム)の割合によって、混在する多種の結晶構造がどのように変化するかが明らかになりました。また、結晶構造の違いによって放電容量や充放電をくりかえしたときの性能がどのように変化するかを解析し、多様な形相の中から、安定して高容量を維持できる結晶構造を見いだしました。
 この結果から、電極材料を設計するための指針を得ることができました。


ニッケル水素電池の原理

電池正極に水酸化ニッケル、負極に水素吸蔵合金を使っています。放電のときには、水素吸蔵合金から水素が正極の水酸化ニッケルへ移動します。

ニッケル水素電池の原理

AAサイズ(単3形)ニッケル水素電池のエネルギー密度の変換

電池性能を左右するのは負極材料の水素吸蔵合金で、その改良が進められてきました。希土類-Ni系合金(AB5系合金)を負極材料に用いた放電容量は理論値の85%以上に達していて、これ以上の高容量化は望めなくなっています。

AAサイズ(単3形)ニッケル水素電池のエネルギー密度の変換


La0.8Mg0.2Ni3.4-xCo0.3(MnAl)x合金の相構造

添加するマンガンとアルミニウムの割合(MnAl)xによって、結晶構造が変化します。特に、x=0.15のとき、希土類間にはさまれた特定のNiサイトがMnやAlと置き換わり、5:19相の安定化につながることがわかりました。

充放電くりかえし回数と放電容量の関係

5:19相を多く含む合金(x=0.15)は、充放電をくりかえしても放電容量が低下しにくいことがわかりました。それは、5:19相では水素の吸収・放出による膨張収縮が小さいためだと考えられます。

充放電くりかえし回数と放電容量の関係