電子製品の特定有害物質規制への対応ー6価クロムの高感度非破壊検査法を確立

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電子製品の特定有害物質規制への対応ー6価クロムの高感度非破壊検査法を確立

電子製品の特定有害物質規制への対応

6価クロムの高感度非破壊検査法を確立

成果

  • 電子製品の防さびに使われるクロメート皮膜*に含まれる有害な6価クロムを、非破壊で高感度に測定する手法を開発
  • 従来の溶融検査法に代わる、信頼性が高く迅速な測定法を実現
  • EUにおける規制(RoHS指令)**に対応できる手段として活用

研究・開発機関:(株)富士通研究所

*クロメート皮膜 鉄やアルミニウムの防さびに使われ、6価クロムを含むものと3価クロムを含むものがあります。6 価クロムを含むクロメート皮膜には、黄クロメート、黒クロメート、イリダイトがあります。6価クロムは、皮膚潰瘍、鼻中隔穿孔、肺がんなどをもたらす有害物質であることから、使用が規制されるようになりました。3価クロムは6価に比べて人体への影響が低いとされ、6価クロムに代わるクロメート皮膜として開発されています。

**RoHS(Restriction on Hazardous Substances)指令 電気・電子製品における特定有害物質の使用制限について、欧州連合(EU)が定めた規準。2006年7月に施行され、この指令に適合しない製品はEU内では販売できません。ここで規制する物質の1つに6価クロムがあげられています。

この研究に対する受賞:日本分析化学会先端分析技術賞 JAIMA機器開発賞(2010年度)、
第9回ひょうごSPring-8賞(2011年度)

SPring-8の活用

Before
 電子製品に含まれる6価クロムの人体への影響、および廃棄された電子製品による環境汚染の問題から、6価クロムの使用を全廃する取り組みが盛んになっています。一方で、化学処理による6価クロム検出の信頼性が確立されていないことが問題となっています。そこで必要になるのが6価クロムの非破壊分析法です。
 化学処理による6価クロム分析法では、水や熱水に溶解して抽出します。そのため、抽出の過程で6 価クロムの価数が変化したり、共存する元素との反応が起こる、さらに難溶性の皮膜はうまく分析できないという問題点があり、分析結果の信頼性が十分ではありませんでした。

After
 SPring-8 のXAFS 法は、試料を破壊しないで、微量元素の絶対量を測ることが得意です。この方法でクロム化合物を測定したところ、6価クロムと3 価クロムがはっきり分離して観察されました。そこで、同様の方法で各種のクロメート皮膜を調べ、それぞれに含まれる6価クロムの絶対量(含有率)を明らかにしました。
 さらにXAFS の入射角依存性から、クロメート中の6価クロムの深さ分布を測定することも可能になり、クロメート皮膜のまま直接6価クロムを分析する技術が向上しました。


亜鉛めっきのクロメート処理

亜鉛めっきのクロメート処理

電子部品の鉄やアルミニウムには防さび用の皮膜処理が施されます。

電子部品の鉄やアルミニウムには防さび用の皮膜処理が施されます。


XAFSによるクロメートの測定結果

XAFSによるクロメートの測定結果

各種クロメートの吸収スペクトルに現れる特定ピーク(5.993keV)が6価クロムに対応します。3価クロメートではそのピークは見られません。このことを利用すると、6価クロムの含有率の測定が可能になります。

各種クロメートの6価クロム含有率

各種クロメートの6価クロム含有率

左のXAFSのスペクトルから算出されたものです。