米のとぎ汁由来成分を配合したヘアケア製品の開発ー毛髪保護成分の内部への浸透を可視化して観察

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米のとぎ汁由来成分を配合したヘアケア製品の開発ー毛髪保護成分の内部への浸透を可視化して観察

米のとぎ汁由来成分を配合したヘアケア製品の開発

毛髪保護成分の内部への浸透を可視化して観察

成果

  • 毛髪保護成分の毛髪内部への浸透を観察する手法を開発
  • 米のとぎ汁の成分イノシトールの予防美髪効果を科学的に証明
  • イノシトールを配合した新ヘアケア製品を開発

研究・開発機関:クラシエホームプロダクツ(株)

*蛍光観察 FITCなどの蛍光標識化合物をタンパク質などの構造中に一部組み込み、蛍光顕微鏡で観察する手法。

**顕微赤外分光装 赤外分光光度計と顕微鏡を合わせた装置で、観察する対象物の成分分布がわかります。ビーム強度が強いSPring-8の赤外物性ビームライン(BL43IR)の赤外放射光を使えば、毛髪横断面の成分分布の詳細データが得られます。

SPring-8の活用

Before
最近のヘアケア製品には、手触りやツヤの改善といった官能的な評価だけでなく、有効成分が働くメカニズムの科学的な説明が求められます。
米のとぎ汁は、平安時代から整髪剤として使われてきました。ごく最近になって、米のとぎ汁に含まれる糖質の1つであるイノシトールに、髪をダメージから守る「予防美髪効果」があることが明らかにされました。
 美髪効果を発揮する成分については、これまで蛍光観察*という手法を使って、毛髪内部に浸透していく様子を観察していました。しかし、定量はむずかしく、美髪のメカニズムまではわかりませんでした。

After
SPring-8 の赤外放射光を用いる顕微赤外分光装置**を使えば健康毛とダメージ毛の内部の微妙な違いまで観察できます。この手法を使って、イノシトールを加えた毛髪を観察した結果、イノシトールに特有の化学結合に由来するシグナルが毛髪の表面で強く、内部へいくほど弱まっていました。これは、イノシトールが徐々に毛髪内部まで浸透していくことを示しています。毛髪を洗ってもイノシトールは内部にとどまっていて、予防美髪機能を発揮していることも明らかになりました。
 この結果を踏まえて、イノシトールを配合した新しいヘアケア製品を開発しました。昔の人の知恵が見事に生かされたわけです。


イノシトールの予防美髪効果

米とぎ汁の成分であるイノシトールには、ダメージを受けた毛髪の補修機能のほかに、ダメージから毛髪を守る予防機能があります。

イノシトールの予防美髪効果

イノシトールの毛髪内部浸透性

凡例の数字は赤外放射光吸収強度に対応。数字が大きいほどイノシトールを特徴付ける化学結合が多いことを示しています。暖色の部分が多い右側のグラフから、 イノシトールの濃度が毛髪の輪郭(点線部)に沿って高まっているのがわかります。毛髪保護成分イノシトールが、毛髪内部へ浸透しとどまる様子を世界で初めて定量的に可視化しました。

イノシトールの毛髪内部浸透性